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会長挨拶

たかが50年、されど50年
作業療法のルーツから、生活を支えるツールの開発へ

 

 日本作業療法士協会は今年の9月25日に設立50周年を迎えます。日本に作業療法士という国家資格が誕生し、その有資格者が集まって団体を設立してから50年が経過したということですが、作業(日常生活に関わるすべての諸活動)が心と体の癒やしにつながるという知恵自体は人類の文化とともに古く、紀元前に遡る歴史があります。その知恵は、あるときは偶然の産物として、またあるときは経験則の賜物として人々を癒やしてきましたが、それが科学的な根拠に根ざした専門的な療法として確立されたのは近現代になってからであり、わが国でもようやく50年ほど前に国家資格として認められたというわけです。作業による癒やしの歴史からみれば、たかだか50年、取るに足らない短い時間にすぎません。
 しかしこの50年間、私たち作業療法士は日々対象者と向き合い、その人の作業を尋ね、その人の作業に寄り添い、その人の作業を育てることで、対象者のより豊かな生活の構築に貢献できることを証してきました。何か飛躍的な大発見があったわけではありません。作業による癒やしの歴史がすでに知っていたことを、日々の対象者との関わりを通して実際にやって見せ、書き留め、科学的に実証し、少しでも分かりやすい言葉と方法で敷衍し広めてきたのです。一人ひとりの対象者と共に経験と知見を積み重ねてきたという意味では、50年の歳月は決して短いものでも軽いものでもありませんでした。50年にわたりご支援いただきました国民の皆様、関係団体、関係職種には改めて心より感謝の意を表したいと思います。
 さて、作業療法の知恵は「ひとは作業をすることで元気になれる」という単純明快な理念として言い表すことができます。この理念の下、加齢や病気・障害により生活に支障が生じている方、または生じるおそれのある方に対し、主体的な生活の獲得をめざして、本人、家族、地域社会、環境に働きかけを行うのが作業療法です。当協会ではこのような働きかけをより迅速に確実に行うためのツールとして「生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance: MTDLP)」を開発しました。地域包括ケアシステムの構築が急務とされる時代に、まさにそれにぴったりのツールを世に問うことができたのも、この50年間の積み重ねがあったればこそです。当協会は全国で研修会を開催し、MTDLPを使った作業療法を国民に等しく提供できるよう、その普及に努めているところです。加齢や病気・障害により生活に支障が生じてしまった方、改めてご自身なりの生活や生きがいを創り出し、社会との接点を見いだしたいとお考えの方は、ぜひ作業療法をご活用ください。

一般社団法人 日本作業療法士協会
会  長   中  村  春  基

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