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作業療法士ってどんな仕事?

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OTのスゴ技(作業療法士)企業と連携し、作業療法士の知識やノウハウを広げる

合田健太さん(広島県作業療法士会)

 企業と連携することで、作業療法士が持っている知識やノウハウを社会に広げることができる。新しい「ユニバーサルデザイン」の衣料ブランド立ち上げに参画した作業療法士に話を聞いた。

打ち合わせをする合田さん(右)と後藤さん(左)

打ち合わせをする合田さん(右)と後藤さん(左)

 広島県福山市の縫製会社「マルカ」は、2019年3月に、体の不自由な人でも着やすい「ユニバーサルデザイン」の衣料ブランド「ONESELF(ワンセルフ)」を立ち上げた。縫製会社である同社として初めての衣料ブランドだ。新たな事業に乗り出したきっかけは、同社社長である後藤賢二さんの、友人に対する思いにある。10年ほど前に脳出血で倒れ、右半身にまひが残る友人が、一人でも着ることのできる服を作りたいと考え続けた後藤さん、2017年にユニバーサル衣料のブランドを立ち上げることを決意した。

 「誰もが着やすい服を」との思いはあったが、身体が不自由な人にとって使いやすい衣料に求められる機能や、服を着やすくするための工夫についてのノウハウがなかった同社は、広島県が推進する「医工連携プロジェクト」を通じて、広島県作業療法士会とつながった。広島県作業療法士会では、同会に所属する合田健太さんを派遣、開発に協力することになった。合田さんは「日ごろの勤務では体験できない学びがあるのでは」と、二つ返事で引き受けた。

 合田さんが参画した時点で、シャツの基本的な形はできていた。そこに作業療法士独自の視点や知識、日頃の勤務で経験している情報を加え、よりよいものにしていくことが、合田さんの役割となった。

 たとえば、シャツの前や袖口はボタンではなく面ファスナー(商標としてマジックテープ、ベルクロ等がある)で止める方式になっている。しかし面ファスナーの色はすべて白で、取り違えてしまう可能性があった。そこで、上から3番目の面ファスナーの色を水色に変えることで、面ファスナーの「かけ違い」を防ぐことができる。「自分が日頃の業務で学んだこと、感じていることを伝え、商品に落とし込むことができ、大変やりがいがありました」(合田さん)。

 同時に、企業の「商品としてのクオリティ」を追求する姿勢に学ぶことも多かった。「医療現場にいると、どうしても機能優先、使いやすさ優先に考えてしまう。たとえば『パジャマのようなゆったりしたものの方が着やすいのではないか』と。でもそうじゃないんですね。本当は、誰でも『おしゃれ』がしたいんです」。実際に当事者に使ってもらうなかで、そのことを実感したという。「シャツを着るだけで、姿勢がよくなり、意識もしっかりとする。そんな人もいました」(合田さん)。作業療法士と企業がお互いの特徴をぶつけ合うことで、高い機能と良質なデザインが両立した。そのことが、着る人の、生活のモチベーションを上げることにつながっている。

 「作業療法士ならではの視点や知見を社会に広げていくために、企業との連携には可能性を感じます」と合田さん。今後も機会があれば、他企業との連携に取り組んでいきたいという。企業連携を通じ、作業療法士の考え方を社会に広げることは、これからの作業療法士の新しい役割として期待が持てる。

ボタンの代わりに面ファスナーを使っている。

ボタンの代わりに面ファスナーを使っている。

■施設情報
一般社団法人広島県作業療法士会
〒731-3622 広島県山県郡安芸太田町下殿河内131-2
電話:090-5377-9922

マルカ株式会社
〒729-3102 広島県福山市新市町相方680-2
電話:0847-52-3355

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