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作業療法士ってどんな仕事?

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はたらくことは、いきること住民主体の「支え合い」に作業療法士の視点でかかわる

新潟市地域包括ケア推進モデルハウス「にしかんの茶の間」

 地域住民の居場所「地域の茶の間」。新潟市で行われている地域の支え合いのしくみづくりに参画している作業療法士がいる。

新潟市地域包括ケア推進モデルハウス「にしかんの茶の間」

 新潟県新潟市西蒲区、JR巻駅から徒歩10分ほど歩き、商店街の路地を入ったところに、新潟市地域包括ケア推進モデルハウス「にしかんの茶の間」がある。寺の敷地内にある民家を借り受け、毎週月曜日と木曜日の10時から15時の間開放されている。200円でコーヒーやお茶、お茶菓子を楽しむことができ、また300円で地元の食材を使った手づくりのお昼ご飯を食べることができる。話し相手や一緒に食事をしてくれる仲間を求める一人ぐらしの高齢者や、暮らしに不安のある人はもちろんのこと、小さな子どもを連れた若い世代も訪れる。「誰にでも来てほしいし、くつろいでもらえることが第一の目的です。ですから高齢者じゃないとダメ、要介護でないとダメ、といった参加資格はありません」と話すのは、運営主体である任意団体「Rera(レラ)」代表の佐藤信子さん。2016年11月に開設した「にしかんの茶の間」の活動は次第に広がり、今では毎回30~50人の地域住民が訪れるようになった。

 この「にしかんの茶の間」の活動に作業療法士が関わるようになったのは、2017年6月からのこと。新潟市より、地域の茶の間を訪れる地域住民の暮らしの困りごとやニーズをくみ取り助言するだけでなく、場合によっては地域の医療・福祉資源につなぐ役割を求められての参加となった。月に1度訪問している作業療法士の大谷内和幸さん(岩室リハビリテーション病院所属)は「『作業療法士です』という顔を見せずに、自然に場に溶け込むように振舞っています」と話す。一緒におしゃべりしたり、ゲームや手作業を楽しみながら、自然な会話の中で隠れた困りごとやニーズに気づくことが必要なのだという。「未だに私が作業療法士だということを知らない人もいるくらいです(笑)。でもこちらは、みなさんと関わりながら、どんな支援が必要かを見極め、運営スタッフと共有することを心がけています。」

 たとえば、「にしかんの茶の間」に通う常連の一人は、高齢で足に障害があり、なかなか外に出歩くことがなかった。しかし「にしかんの茶の間」に通ううちに、次第に活動的になり、今では「にしかんの茶の間」の参加者でありながら、自身が暮らす地域に新たに立ち上がった地域の茶の間に、ボランティアスタッフとして関わるようになっている。「健康や暮らしの相談に対応することはもちろんですが、『その人にできること』を見つけ出すことも作業療法士の大切な役割です。参加者として「にしかんの茶の間」に来た人でも、運営スタッフと連携しながら他の参加者の困り事に対して支援してもらうように促したりもします。「支援される人」が「支援する人」になることや「支援する人」も時には「支援される人」にもなります。「地域の茶の間」を軸に、高齢者をはじめとする地域に暮らす人たちが「お互いさま」の関係になるようにつながり合うと、自然な形で支え合いのしくみが生まれてきます。

 新潟市が発祥の「地域の茶の間」は現在市内500か所以上で開設されている。新潟市は、子どもからお年寄りまで、市民一人ひとりが住み慣れた地域で安心して暮らせるまちの実現を目指し、市民と行政が協働して支え合いのしくみづくりを進めるための拠点として、市内8区9ヵ所に「新潟市地域包括ケア推進モデルハウス」を設置し、「地域の茶の間」の開設や運営を後押ししている。「にしかんの茶の間」もその1つだ。モデルハウスには参加者それぞれが希望する生活の実現のため、保健師、作業療法士等の専門職が定期的に派遣されている。昨年度は市内22ヵ所の病院や施設がこの事業に賛同し、36名の作業療法士が派遣された。

 今後、全国で少子高齢化が進み、医療・福祉の体制に課題が生じる地域も少なくない。地域住民同士が支え合う「互助」の体制づくりが求められる中で、作業療法士の「暮らしを支える視点」を生かすことで、地域住民の暮らしがよりよいものになり、安心して暮らすことのできる地域になっていくのではないだろうか。

新潟市地域包括ケア推進モデルハウス「にしかんの茶の間」

■詳細情報
新潟市ホームページ 地域包括ケア推進モデルハウスの取り組み
https://www.city.niigata.lg.jp/smph/iryo/korei/chiikihokatsucare/houkatsucaremh.html

■取材協力
任意団体「Rera」
〒953-0041 新潟県新潟市西蒲区巻甲660「にしかんの茶の間」内
電話:080-1029-2911

一般社団法人新潟県労働衛生医学協会附属岩室リハビリテーション病院
〒953-0104 新潟市西蒲区岩室温泉772-1

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