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TEAM OT神経難病患者の在宅生活を支援する作業療法士

りんご訪問看護ステーション 佐郷谷義明さん

 神経難病患者の「生活の質」をできるだけ向上させていくために、作業療法士を含む地域における在宅支援チームには何ができるのか。東京都杉並区で神経難病患者の訪問看護を行う作業療法士とそのチームに話を聞いた。

神経難病患者の在宅生活を支援する作業療法士

透明文字盤を使ったコミュニケーション支援の場面

 神経難病とは、神経細胞が変性することによって起きる病気の総称で、代表的なものに「筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)」や「パーキンソン病」がある。その多くが進行性の病で、病状が進行するに従って機能低下がおき、発声や身振りさえ困難になる中で、意思の疎通を図ることが大きな課題となる。原因や治療法は確立していないものもある。東京都杉並区にある「りんご訪問看護ステーション」では、この神経難病の方への訪問サービスを積極的に行っており、今はALS患者だけでも常時10~15人の患者を受け持っている。「りんご訪問看護ステーション」では、作業療法士の佐郷谷義明さんをはじめとして、ステーション内の看護師、理学療法士、地域で難病支援に関わる他事業所のソーシャルワーカー、福祉用具専門相談員などと密接に連携しながら「チームアプローチ」で神経難病患者の支援をしているという。

 看護師は点滴、呼吸管理、喀痰吸引などの医療的ケアを受け持ち、理学療法士は運動や歩行、姿勢やバランスの障害などに対する介入により身体的な機能の維持に努める。ソーシャルワーカーは制度利用の視点から患者・家族を医療や福祉の制度につなげる役割を果たし、福祉用具専門相談員は病状の進行に伴って必要となる福祉用具を提供するのが仕事だ。そして作業療法士は、医学的所見に基づく予後予測のもと、身体機能の評価に基づく住環境整備や自助具作製、各種福祉用具やコミュニケーションエイドの適合評価、スイッチ作製等の包括的な環境調整を行うとともに、精神心理的な側面を評価して、その人らしい生活の実現を支援する。このように職種の専門性や力点の置き方は異なるが、悪しき分業に陥ることなく、むしろそれぞれの専門性を活かしながらも、「相互乗り入れ」の考え方に従って支援に取り組むところにチームアプローチの醍醐味がある。

 「相互乗り入れ」の考え方を、佐郷谷さんはサッカーのチームバランスにたとえて説明してくれた。守備や攻撃といった基本的な役割は各々決まっているかもしれないが、時には攻撃をする人が守る場合もあるし、守備の人が攻めることもある。チーム全体で共有する一つの目標に向かってそれぞれがお互いの役割に少しずつ「乗り入れ」ることで、よりチームバランスが向上し目標達成へのプロセスを共有できる。訪問サービスは、神経難病患者の「暮らしの場」で行われる。支援の対象は「疾病」や「障害」ではなく、疾病や障害をかかえながらその人がその人らしく生きていく「生活」である。「生活」は多様な要素・側面を持っているので、ここからここまでは看護師、ここからは作業療法士などと単純に区割りすることはできない。だからあえて役割を固定化しすぎない。そのほうがケアの質が上がると考えているという。「神経難病患者様の在宅生活を支援していく上で、作業療法士には多様な役割があります。例えば、症状が進行し、心身の状況が揺れ動く時期には、ご本人の希望に沿って睡眠支援の一環として深夜0時に訪問し、呼吸排痰ケアや精神的支援にあたることもあります。」チームによる支援の中で作業療法士の果たす役割は大きい、と佐郷谷さんは言う。「神経難病の方は、病状が悪くなることはあっても、よくなることはありません。進行性の方も多い。身体的な介入や、合併症を防ぐような医療的ケアも重要ですが、病状にあわせて生活の環境をいかに調整していくのか、がいっそう重要になってきます。その意味では、生活や環境と本人の身体機能を相互に評価しながら調整を図ることができる作業療法士の役割は極めて重要だと考えています」。

神経難病患者の在宅生活を支援する作業療法士

 徐々に機能低下をきたしていく神経難病においては、運動機能・身体機能だけでなく、患者の背景となる生活環境、精神的な側面まで含んだアプローチができる作業療法士の役割と責任は大きい。佐郷谷さんが「もっと多くの作業療法士に在宅・訪問領域における神経難病患者さんの支援にあたってほしい」と話すように、これから神経難病患者の訪問サービス領域における作業療法士の果たすべき役割はますます大きくなっていくだろう。

■施設情報
りんご訪問看護ステーション
〒167-0035 東京都杉並区今川2-24-1 カリフール今川1-104
電話:03-6254-7990

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