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平成22年度 課題研究助成制度採用課題

研究
種目
研究課題名 申請者(研究代表者) 所属 助成金額(円)
健康増進・障害プログラムの効果に関する研究 川又 寛徳 首都大学東京
健康福祉学部
1,250,000
研究概要: 我々が考案した健康増進・障害予防プログラムは、人間作業モデル(MOHO)についての講義と演習を通して、地域で生活する健康な高齢者の意味ある作業の探索や従事を支援し、健康増進・障害予防を図るものである。これまで学会や論文等で本プログラムによる健康関連QOLの向上等の成果を報告してきた。本研究では、全国6ケ所に実施規模を拡大し、ランダム化比較試験を行うことにより、健康増進・障害予防プログラムの成果をより明確にする。
 実施方法: <研究対象者>対象は,1都1道2県(東京都,北海道,秋田県,福岡県)に在住する健康な高齢者とした.新聞の折り込み広告等で参加者を公募し,説明と同意を得たうえで,研究に参加してもらった.各地区を層とし,実験群と対照群にランダムに割り付けた.実験群はMOHOに基づくプログラムに参加する方々とし,対照群はOTの手技に基づき手工芸を作成する方々とした.
<方法>本プログラムを1回120分,全15回のセッションで構成した.実験群では,各セッションはMOHOの基本的構成要素である「興味」「価値」「役割」「習慣」「能力の自己認識」などの10のテーマを取り上げ,講義と演習を実施した.作業療法士による概念の説明(講義)の後,集団および個別の話し合いにより,参加者各自が解決すべき個人的課題を明らかにした(演習).その後,さらに具体的解決策について参加者が互いに意見を述べ合い,課題解決のための具体的計画を立て,合意できた計画を実行した.実行後,成果を話し合い,必要に応じてさらに別の計画立案,実行を繰り返した.作業療法士と研究補助者は一連の過程の支援者として参加した.対照群は病院等のOTで実施されることが多い手工芸を中心に,実際に作成してもらった.作業療法士と研究補助者は一連の過程の支援者として参加した.
<測定>プログラムの効果判定の指標として,初回と最終回,終了6ヵ月後に,QOL26などを実施して,各測定値に差があるかどうか検討した.
 結果の概要: 初回と最終回,そして終了6ヵ月後3回の測定すべてに参加した44名(実験群24名,対照群20名)の結果を分析した.※福岡県実施分のデータは,終了後6ヶ月経過していないため含まれていない.
 開始時の平均年齢は,実験群70.7±4.6歳,対照群70.8±4.0歳であった.実験群におけるプログラム開始時と終了時,そして終了6ヶ月後の3階のQOL26の測定値(順に3.5±0.3,3.7±0.4,3.7±0.4)を比較した結果,開始時と終了時(p=.008),開始時と終了6ヶ月後(p=.036)に有意な差が認められ,いずれも開始時より終了時,終了6ヵ月後が高かった.対照群のQOL26の測定値は3つの時期(いずれの時期も3.7±0.4)で有意な差は認められなかった(p=.900).
 効果(成果): 実験群では,開始時に比べ終了時,および終了6ヶ月後に有意にQOLが向上していたのに対して,対照群では3つの時期で変化が認められなかった.したがって,実験群でおこなったMOHOプログラムは,集中的なプログラム実施後のみならず,6ヵ月後もQOLに与える効果が維持されることが明らかとなった.地域に在住の健康高齢者のQOLを支援する場合,単発的な楽しみを提供することより,むしろ,人生や作業の見方をMOHOの視点から学び,それを生活に活かすことができるよう支援するMOHOプログラムの優位性が示唆された.
イメージを活用した新たなパーキンソン病体操の開発 -日常生活活動における効果検証を中心に- 宮口 英樹

広島大学大学院
保健学研究科

1,400,000
研究概要: パーキンソン病患者に日常生活場面で工夫していることを聞くと、動作をイメージしてから実行していると答える人が少なくない。臨床的には、このようなイメージを用いることで動作開始の緩慢さが改善されるなど観察されるが、日常生活場面で患者自らが応用することは難しい。そこで本研究は、このような臨床知見と近年の大脳-基底核ループに関する研究をふまえ、予測-確認といったイメージを取り入れた新たなパーキンソン病体操を開発し習慣化を図ることにより、日常生活動作の改善という効果が認められるのかどうかを検証する。
 実施方法:研究Ⅰ(22年度)
【対象者】広島県のパーキンソン病友の会および大阪府堺市のパーキンソン病患者会(堺のびやかクラブ)148名(女性69名、男性79名)の協力を得て行った。対象者の選出においては、Unified Parkinoson’s Disease Rating Scale (UPDRS), 合併症の有無, 障害優位側 on-off現象の有無、MMSE, 要介護度等を考慮した。
【調査項目】まず一日の主な生活の流れを把握し、次に日常生活動作における困り事、工夫、ON-OFF期の違いなどについて研究者の協議によりインタビューガイドを作成した。
【研究手順・データ分析】インタビューガイドを基に半構成的面接聞き取り調査方法によってデータ収集を行った。また、インタビュー内容は、対象者の同意が得られた場合は録音し、内容を逐語録に記載した。そして、質的機能的分析法を用いてイメージを用いることが有効な動作についてカテゴリー化した。
研究Ⅱ(23年度)
【研究目的】研究Ⅰに基づき、新たに視覚及び運動イメージを取り入れたパーキンソン病ダンス(DVD)を作成し、心身機能および日常生活動作における効果検証を行った。
【対象者】研究Ⅰと同じ患者会の協力を得て実施した。12名(女性9名、男性3名)。
【評価項目】運動機能検査としてTMT (Timed Motor Test)、TUGT(Timed up and Go Test)、バランス能力として、FRT(Functional reach test)、イメージ能力として、手のMRT(Mental rotation task)、同心円課題、表情認知課題、ダンス鑑賞方法の違いによる前頭前野の活動を測定した。
 結果の概要:研究Ⅰにより、パーキンソン病患者の日常生活動作の様々な工夫について聞き取り調査から得られた要素、①記憶に従って行う動作困難、②複雑動作、並列動作困難、③動作の無意識的組み立て困難、④動作切り替え困難、⑤両手動作の困難、⑥不快なときは動作が困難という6つの特徴が得られた。そして、これらの結果を考慮したパーキンソンダンスを作成した。6つの困難さの特徴により、暗いと動作ができない、予測しない状況には対応できない、~しながら~できない、すくみ足、バランスの悪さといった行動に表れると考え、パーキンソンダンスでは、イメージしたものを身体で表す、同じ動きを何度も繰り返す、繰り返すことによって動きを習得する、音楽やイメージを使うことによって快感情を得る、の4つのポイントを盛り込んだ。また、これらの効果を表す評価を検討する過程で、新たに、イメージ能力として、手のMRT(Mental rotation task)、同心円課題を開発した。ダンスの効果を検討するにあたり、文献的研究を行い、ワシントン大学のEarhartとHackneyらが実施しているパーキンソン病患者に対するタンゴの介入研究を参考とした。測定の結果、PDダンスを実施した直後には、上肢の運動機能の改善は、認められなかったが、歩行能力を測定するTUGTとイメージ想起に関連した手のMRT、同心円課題の一部で有意な得点の変化が認められた。これらの変化は、いずれも反応時間が早くなっており、イメージ能力と関わりのある前頭葉の関与が考えられた。また、表情認知課題では、8名中3名が同じ表情を見て悲しみから喜びに感じる程度が変化した。作成したダンスDVDを見ている時の前頭前野の活動をNIRSを用いて測定を行い、ダンスを覚えようとしている場合は、ダンスを見ているだけよりも左の前頭前野の活動が高まることが分かった。
効果(成果): 本研究による主な成果は、1)パーキンソン病の動作の困難の特徴について新たな視点から分類したこと、2)パーキンソン病の介入として注目されているダンスをオリジナルに開発したこと、3)パーキンソン病の動作困難の特徴を評価する過程で、新たにイメージ障害に関わる課題を開発したこと、4)ニューロイメージングの技術を用いて、ダンスにかかる脳の機能に関する仮説を考察したこと、があげられる。いずれの内容も一部を論文化するとともに書籍にまとめ公表予定である。
 1)は、困難から工夫を行うことで、日常生活の動作が改善できるパンフレットを作成し、各動作を実際に患者会等に配布し指導している。2)は、従来のシンプルな運動ではなく、イメージを多く取り入れた構成によって難易度が高いと思われる動作であっても踊ることが可能な対象者を多く目にすることができた。DVDにしたことで、各自が自宅でも実施可能であり、3)は、手のMRTを用いた健常コントロール群との比較によって、パーキンソン病患者では、特に180度の向きに提示された手の写真の左右を判別する際に、有意に時間が延長することが分かっただけではなく、小脳性の疾患ではさらに時間が延長することが明らかになるなど日常生活の援助方法に貴重な示唆を得ることができた。4)では、1例の検討であるが、ダンスを実際に楽しんで参加した対象者であったことから、左の前頭前野は、快の予測に関わっているとの先行研究を鑑みるとダンスが楽しい経験となれば、動作を遂行する脳の活動を高める可能性が考えられる。
在宅高齢者の作業療法における環境支援の効果 -包括的環境要因調査票を用いた根拠ある実践- 藪脇 健司 吉備国際大学
保健科学部
1,000,000
研究概要: 環境の改善を通して作業への参加を促す作業療法は、クライエントの健康状態とQOLに影響を与え、在宅生活の継続に大きく貢献すると考えられる。本研究の目的は、在宅高齢者の作業療法において、根拠ある実践による環境支援がクライエントに与える効果を介入研究によって明らかにすることである。対象は全国の在宅要支援・介護高齢者120名程度であり、介入郡に包括的環境要因調査票の結果に基づいた環境支援を行い、統制群と比較することにより介入効果を検討する。
実施方法: 
結果の概要:
効果(成果):
脳卒中患者の運動機能回復に適した運動イメージ・パラダイム -経頭蓋直流電流陰極刺激による脳仮想病変作成法研究- 桐本 光 新潟医療福祉大学
医療技術学部
700,000
研究概要: 経頭蓋直流電流刺激は、非侵襲的に陰極電極直下の大脳皮質の機能を抑制性に変化させる。この一過性の脳機能変化は脳仮想病変と呼ばれ、数十分後に自然回復する。この方法により健常者の皮質感覚運動野に仮想病変を作成し、脳卒中患者のモデル脳と見立てることにより、全く治療的に介入しない対照群を設けることが可能となる。本研究では、脳卒中モデル脳の運動誘発電位や体性感覚誘発電位の回復時間に着目し、1)運動を想起する、2)運動を観察する、3)ポジティブな教示を行う、などの運動イメージによる効果を比較検討することにより、脳卒中患者の運動機能回復に適した運動イメージ・パラダイムを構築する。
前頭前野背外側部(DLPFC)を効果的に賦活させる訓練方法の検討 酒井 浩 京都大学大学院
医学研究科
700,000
研究概要: 作業療法臨床でよく用いられている認知課題を対象とし、近赤外分光法脳イメージング装置を用いた脳内賦活部位の分析を行う。とりわけ、前頭前野背外側部(DLPFC)を効率的に賦活させることは、Working Memory機能改善を目標とする高齢者を対象とした認知リハビリテーションにおいて重要な課題である。そのための作業活動選択、および段階付けの決定方法について、難易度や提示方法の側面から検討し、認知リハビリテーションにおける治療的根拠を構築する。
パーキンソン病患者のADL・QOLに対する作業療法 -呼吸器機能に着目した治療戦略の検討- 高橋 香代子 北里大学東病院 700,000
研究概要: パーキンソン病患者では、高い割合で呼吸機能障害が認められ、ADLに様々な影響を与えることが報告されている。一方、従来作業療法ではパーキンソン病患者に対して住環境の整備や自助具の紹介・作成を行ってきた。本研究では、パーキンソン病患者の呼吸筋機能に着目し、呼吸筋機能とADLおよびQOLとの関連を調査することにより、パーキンソン病患者のADL・QOLを改善する為の、作業療法の新しい治療戦略を開発するための一助とする。

 

平成22年度課題研究助成制度
課題研究審査委員会
     委員長 石川 隆志(秋田大学)(兼倫理審査委員会委員長)
     委 員 澤田 雄二(札幌医科大学)
     委 員 新宮 尚人(聖隷クリストファー大学)
     委 員 東 登志夫(神奈川県立保健福祉大学)
     委 員 村井 千賀(石川県立高松病院)
     委 員 吉川 法生(千葉県立保健医療大学)
課題研究倫理審査委員会
     委 員 苅山 和生(佛教大学)
     委 員 小林 毅(千葉県立保健医療大学)
     委 員 小林 正義(信州大学)
     委 員 堀田 英樹(国立病院機構下総精神医療センター)

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