Opera20号
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感謝神経を育てるアナウンサーに、そういう人がけっこういます。でも生まれながらにして、立て板に水のように話す人よりも、話すことに対して少し照れや恥じらいがある方がいいような気がするんです。その方が人の気持ちを忖度する時間が持てるというか、相手の心に土足で入っていくことがないかなと。大学の特別講座で「ことば磨き」をした時に、ちょっとふてぶてしいのがいたんです。「授業を始めるよ」と言ってもすっとぼけて、授業中に、「君、感想言って」「えっ俺、聞いていなかったよ」みたいな。あげくのはてに感想文に「褒め言葉なんていらない、なんでこんな塾をやるのか意味が分からない」と書いてきて、挑戦状を突きつけてきたのです。彼は僕に反抗というアピールをしてくる。それに対して僕が一緒になって反抗していたら、そこで戦いになってしまうわけです。彼の挑戦をうまく受け止めながら、「あなたがなんと言おうと、僕はあなたのことが好きだよ」と彼の感想文に書きました。どうなるのかその先はわからないですけど、嫌な人オーラを出す人も含めて、跳ね付けない跳ねのけないことですね。●あなたに幸せになってほしいんだ。退院したら、いろんなことが困ると思うけどこんな風になってほしいんだというこちらの思いが強すぎても相手が引きますしね。●そのさじ加減が難しいですね。答えがないですからね。●同じですね。苦い経験もたくさんあり、「お前の顔なんか見たくない」と言われると落ち込みますが、そこで学んでいきますよ。どうしたらこの人が、ちゃんと訓練してくれるのだろうか、手を替え、品を替え、気に入ってもらえるように。●「失敗は成功の母」と言いますけど本当ですね。中村さんも若い頃から、患者さんと接することで、少しずつ自分が変化してきたわけですね。●一番の変化は養成校の教官を10年やっていた時期に基本的な知識や技術を見直す機会があって、そこで少し幅が広がりましたね。一例を挙げ(笑)。自然にそういう言葉が出てく「今日もいっぱいいろんなものをつると、この手がなぜ動かないんですかと聞かれたときに、医学的にわかりやすく説明できるようになったことが大きいです。●人に教えることは、自分に対する気づきですよね。人を育てることが自分を育てる。僕もことば磨きは自分育て。人が発する言葉から本当に気づくことが多いし、こんなにお得なことはないんですよね。●ありがとうという言葉も百万回言うぐらいの気持ちじゃないと身につかない。「そんなの言わなくても心の中で思っている」だけでは、通じないんです。「感謝神経」は口に出さないと磨かれませんよと言っています。ありがとうの反対の言葉は何か。ほとんどの人がわからない。「あたりまえ」という答えを出すとみんな感心する。あたりまえだと思うから、ありがとうが出てこないわけでしょう。発達障害、知的発達遅滞という診断が下った青年が寝る時にかんでくれて手さんありがとう。いっぱい歩いてくれて足さんありがとう」と自分の体の一つ一つの体の部分にありがとうと言ってるんです。どこが知的発達遅滞ですか。われわれの方がよっぽど遅れていますよねてくれて)ありがとう」と受け止めせてくれて)ありがとうございましるためには、何度も何度も意識して口にしないと身につかないんです。●何も考えないで過ぎ去っていきますよね。●人を褒めると、たいがい突っ返されてくる。「素敵な洋服ですね」「いえいえ安物です」とか。謙譲の美徳と言えばそれまでですけど。「(褒めたらいいんです。「今日も長い時間  リハビリテーションをしてくれてありがとう」、「リハビリテーションを受けてくれてありがとう」とか、ありがとうの行ったり来たりができるから、「感謝神経」が磨かれていくと思います。バスを降りる時も、なるべく言うようにしています。子どもたちがよく「ありがとうございました」と言いながら降りていくでしょ。あれ、気持ちいいですよ。降りるときに(乗たと言って降りれば、バスの運転士さんも気持ちよく運転出来て事故も少なくなくなるんじゃないでしょうか。 「ありがとう」と言っているといい気持になるし、言われるといい気持になる「大好き」「よかったね」という言葉も。相手に言葉の嬉しい波動が伝わると、相手からも嬉しい言葉が返ってくるようになるはずです。●作業療法士の力でその人がよくなJAPANESE ASSOCIATION OF OCCUPATIONAL THERAPISTS 6

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