オペラ18号
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まずは、音楽の楽しさに目覚めてもらう(ばち)で弾きます。三味線が大阪わけですからね。また、長唄はお座敷音楽としても小唄、端唄、俗曲などとともに普及しました。このようにして、三味線音楽が広まって、またお稽古事文化としても定着していったようです。●三味線は、もともと日本にあった琵琶が発展したのかな、と思っていましたが……。●中国の三味線も、三線も、爪で弾くことが多いです。琵琶は大きな撥に伝わったとき、そのあたりには琵琶法師がたくさんいましたから、琵琶の撥と同じものを使うようになった。いってみれば、撥を手放さないで、琵琶を三味線に持ち替えたのではないかと……。それに、歌舞伎の発展とともに劇場も大きくなっていきました。当時の大きな歌舞伎小屋は三百人ぐらい入ったようですから、それに見合う大きな音を出すには、撥で弾くことはとても都合が良かったのだと考えられます。三味線の種類には、棹(さお)や胴の大小に応じて、細棹、中棹、太棹があります。津軽三味線や義太夫は太棹、常磐津や清元は中棹、長唄は細棹三味線を使います。義太夫は、     浪曲の「何が何して何とやら」ベベベンのように語りものですから、太棹の低い音が良かったのですね。対して、長唄は普通にメロディーを弾く音楽ですから、どちらかというと高い調子になり、それには細棹三味線が適しています。高いと言えば、現代の日本人の耳は洋楽で育っていますから、どんどん高い音がほしくなっていきます。ですから、同じ歌舞伎でも、50年前にくらべたら音楽のキーはかなり高くなっています。●お弟子さんには、どのようにして教えているのですか?●マンツーマンで、三味線の持ち方からお稽古します。ただ、お弟子さんは、僕がスカウトしてくるわけではなくて、自分から習いたい、続けたいと来るわけです。だから、師匠としてやらなければいけないのは「自分が長唄三味線を選んだのはやっぱり合ってたんだ、楽しいんだ、がんばってみよう」と、思ってもらうようにすることです。撥をちゃんと糸に当てられるようになるまでに1カ月ぐらいかかります。でも、1カ月間、ただ糸に撥を当てる練習をしていてもつまんないじゃないですか。ちょっとはメロデも)それでいいのだ」と、音楽の楽(笑)。ィーらしきものを弾きたいし、それも知っている曲じゃないといけないので、「さくらさくら」から教えます。これは、伝統ではなく僕のやり方です。もちろん、伝統芸能のお稽古事ですから礼儀作法などは教えますが、そこから始めるとギクシャクした音楽になってしまうんです。あんまり杓子定規にやると楽しくないんです。僕にとってのゴールは三味線がきれいに弾けることです。そのためには、「あっ、音が出る。(多少違っていてしさに目覚めてもらうことが大切です。その人のプライドをつくってあげるんです。名取りになりますと、もう音楽のことはわかっていますから、その瞬間から、「お前のこれまでの態度は、なんなんだ」「いいか、人んちに上がるときは、靴を揃えるんだ」「ほ●それは、患者さんとの関係でも同じですね。単純な訓練をずっとやっていても、楽しくないんです。やったことがちょっとでも役に立つことを見せていくと、患者さんも変わりますね。●教わる側に、「私のことを考えてくかっのてれ人、ての礼い靴儀るも作お揃法師えを匠るキさんッんだチがぞリそ」教うとえ言かまうす言3 JAPANESE ASSOCIATION OF OCCUPATIONAL THERAPISTS日本作業療法士協会会長中村春基 Haruki Nakamura

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