Opera19号
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けると、半身麻痺、言語障害、記憶障害などの後遺症が残る。当事者は、リハビリテーションを経て退院し、社会復帰する。その際、当事者が社会を構成する対等の一員となることは当然のはずだが、現実には困難をともなうことが多い。に揚げる〝リハビリ人生〟を超え、コミュニティにおける〝主体性と生活〟をケアする」(長谷川幹代表)としてスタートしたのが、この学会。それは、「脳損傷者」「ケアリング」「コミュニティ」「学会」という4つのキーワードをひとつに結ぶ取り組みである。会を新たな出発点にして、さらに活動を継続していく。大会は全国に種を撒いていく試みでもある。会長は語る。 「私たちは、今大会の題目を〝起きろよ、起きろ、みんな起きろ〟としました。1つ目の〝起きる〟には心が起きる、2つ目の〝起きる〟に脳卒中や事故などで脳に損傷を受そこで「損傷前機能の復元を目標開催県では1年かけて準備し、大大会冒頭の開会式で、太田睦美大は行動を起こす、3つ目の〝起きる〟には地域を興すという願いを込めました。また運営方針を、①当事者から学ぶ、②みんなで一緒につくりあげる、③輪を広げる、④外に出る、出会いを楽しむ、今を超える、としました。私たちは、支え合うコミュニティをめざして1年間準備してきましたが、この大会をひとつの出発点にして、さらに活動を継続していきたいと思います」昨年の神奈川大会から1年間の神奈川での活動報告をはさんで、白岩源一副大会長から「当事者からの提言――起きんべ、起きんべ、みんなで起きんべ」と題する「基調講演」。白岩さんは、2000年に44歳で脳内出血を発症した。9か月の入院生活の後、右半身の後遺症が残ったが社会復帰を果たした。スポーツ吹矢とフライングディスクの指導員の資格を取得し、フライングディスクは2年にわたって福島県代表として全国大会に出場している。白岩さんは、発症前後の状況から       語り始める。「右半身が自由に使えないことがわかって、涙、涙の1か月をすごしました。でも、涙をこらえなくて、感情を吐き出したことが、結果的にはよかったと思います」。4つのキーワードをひとつに結ぶ取り組み心がおきる、行動をおこす、地域をおこす障害者だからこそ楽しめることを見つけて挑戦するJAPANESE ASSOCIATION OF OCCUPATIONAL THERAPISTS 10脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会 5月10〜11日の2日間、「脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会」の大会が、福島県の会津若松市文化センターで開かれた。2010年に出雲市で開かれた第1回島根大会を皮切りに、秋田大会(秋田市)、神奈川大会(横浜市)と続く第4回大会である。 参加者は400名余りで、うち約4分の1は当事者とその家族の方々。さらに、医療職、福祉職、保健職、行政職、社会学者、哲学者、市民などさまざまな立場で地域にかかわる人たちが一堂に会して、語り、聴き、学び、交流を重ねた。  (Photo. 関大介)互いに人を頼りにしたり、手助けしたりできる地域づくり

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