Opera19号
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度となく温かい笑いがこぼれた。続いて、当事者によるパフォーマンス。アフリカ太鼓、車いすダンス、スポーツ吹矢、フライングディスク、絵画、片手折り紙、歌というように見事なパフォーマンスが披露され、最後に「上を向いて歩こう」を全員で合唱して、興奮のうちに大会1日目を終えた。大会2日目は、「研究部会報告」で幕を開けた。まず、「脳損傷者と共にコミュニティをデザインする研究部会・旅部会」からは、「1年のリハビリよりも1回の旅の効果と考え、今回31人で会津を旅している。自然・歴史・美味しい食べ物・温泉を満喫し、さらに地元の当事者と触れ合っている。さまざまな環境の変化を心身で受けとめ、リラックスできた」と報告された。さらに、サポートする立場から、安心して旅をするための多くの提言がなされた。また、同「TOOL部会」からは、福祉用具による介護従事者の腰痛をなくすための取り組みが報告された。中心は、移動・移乗の際に使用するスライディングシート、スライディングボード、介護リフトの選び方や使い方など。そのうえで、「知っているから、体験へ」「体験から、できる・使えるへ」「できる・使えるから、人に伝える・教える」と、福祉用具のいっそうの普及と習熟への取り組みの必要性が強調された。さらに、「コミュニティにおける脳損傷者の回復プログラムと機能評価研究部会」から、重度の記憶障害のある2事例をあげて、多職種・多施設による事例検討会の意義と効果について報告された。続いて、「ケアの基本と方法を学ぶ」と題する、2人の当事者家族と作業療法士、言語聴覚士との対話。働いていた当時、くも膜下出血を発症し、現在は右上肢機能全廃・右下肢機能の著しい障害・失語症があるが、介護アシスタントの仕事に就いている。そして、仕事が継続できている毎日がとても嬉しい、と語る。マー型認知症になって介護生活になり、その義母を看取った後、120年続いた呉服店を廃業。やっと静かな生活がおくれると思った矢先、夫がアルツハイマー型認知症となり、再び介護生活。そんな中でも、週1回、夫を家族に頼んで「お母さん合唱団」に参加し、歌を続けながら夫の介護を頑張っている、と語る。の質問に答えるかたちで語られ、そこに作業療法士と言語聴覚士がそれぞれ感想をはさみながら、和やかな雰囲気のもと会は進行した。島からのメッセージ」。失語症友の会」が約40人の会員で発足したが、現在は会員が減って、寂しい思いをしている。それでも、毎当事者のひとりは、看護師としてもうひとりは、義母がアルツハイこうした経緯が、インタビュアー大会はいよいよ終盤に入り、「福まず当事者から、11年前に「会津市)に引き継がれた。月12~15名で定例会を行い、県内・県外の友の会との交流も続けている、と語られた。さらに、福島就労支援ネットワークの取り組みが紹介され、障害者雇用に力を入れている企業から現状と課題について報告された。その中で、障害者の求人は増える傾向にありながらも、ハローワークなどを通じてその情報が当事者に届いていない実情も浮き彫りになった。この議論は、「パネルディスカッション」に引き継がれ、その中で次のような発言がなされた。 「私自身がこのまちに住みたいか、住み続けることができるかを念頭において、地域福祉計画などの仕事に携わってきた」。「制度はできても、互いに助け合う関係が薄くなり、人が生きている現実から離れていっている」。「コミュニティとは、これから自分たちでつくっていくもの」。「コミュニティは、地域的なものだけでなく、〝○○友の会〟のような互いに共感できる集まりも含む」。「人間関係は面倒なものだが、隣近所に興味を持って、人を頼りにしたり、手伝ったりしながらコミュニティをつくり直していく」……。最後に、「大会冒頭で太田大会長が述べた4つの運営方針は達成されました」という長谷川代表の「まとめ」をもって、数々の成果をあげた福島大会は、来年の愛知大会(一宮1年のリハビリより1回の旅の効果仕事ができる喜び、歌が歌える楽しみコミュニティは自分たちでつくるものJAPANESE ASSOCIATION OF OCCUPATIONAL THERAPISTS 12             

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