Opera19号
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離感がその人を壊していくのです。JAPANESE ASSOCIATION OF OCCUPATIONAL THERAPISTS 4絶望感です。「距離の暴虐」という言葉をむこうのインテリが使っていましたが、CNNに出てくるニューヨーク、パリ、東京などの風景は、絶対に自分の目で見ることはできないことがわかってしまうのです。そうすると、厭世観で猟銃自殺をしてしまいます。さらに、オーストラリアのような暑いところに行ってアボリジニの人々の生活をみると、水がないのです。たまに雨が降ると、地面が黒くなります(ワジといいます)。そこに瓢箪で作ったお椀を強引に押しつけもぐらせて、なんとかして水を取ろうとします。日照りが続くと、動物たちも地面の中に逃げています。まずカエルを捕って、口の上にもってきてぎゅっと絞ります。カエルの中の目薬ほどの水分がポタポタと落ちます。何匹も何匹もそれをやるのが習性になっています。イラガの幼虫は緑色の溶液たっぷりの芋虫です。これを見つけると、子どもらは競争して捕って、ブチュと音をさせながら食べています。これも貴重な水分なのです。ちょっとにわか雨なんか降ると、子どもたちは外に出て大騒ぎです。●そのように旅をされる原点は?れません。それほど明日、自分が行けるトイレが決まっていないというストレスをかかえている国は非常に多いのです。ですから、飲むのも困らない、食うのも困らない、寝るのも困らない、出すのも困らないという日本の一般的な毎日の生活は、世界標準でいえば、かなり幸せ度が高いはずです。●日本の中には国境線はありませんが……。●国境を接していると、常に災いのもとになります。日本にある川は、全部わが国の川です。でも、インドシナ半島にはメコン川が流れています。ある時、2カ月かけて上流からメコンデルタまで行きました。源流はチベットの氷河です。次に中国の雲南省を通って、ラオス、タイ、ミャンマー、カンボジア、ベトナムと流れます。長さ4200キロの川で、川の中に国境があります。国境の手前2キロで船は岸につけて、乗客その他は陸路を歩いて国境を越え、隣の国のイミグレーションから2キロ歩いて、そこでまた船に乗って旅をします。国境がある川は、昔は戦争の材料にされました。クメール人は、シャムに喧嘩をふっかける時、毒を流したそうです。そうすると下流では魚が死に、食料がなくなります。それで「戦争だ」となって、下から攻めてくるわけです。だから、メコン川は、アメリカの枯れ葉作戦にいたるまで、「戦争の川」といわれてきました。日本にはそういうストレスはありません。その代わり日本には、下流が文句をいっても、国家がやることには文句をいわせないという超野蛮な現象があります。たとえば、富山県の神通川でイタイイタイ病が起きました。新潟県の阿賀野川には阿賀野川水俣病がありました。九州の水俣病と同じことをやっているのです。あたら自分の国の川だから、「国家の力は偉大なり」で、自国の人を自国が殺すということをやっていたのです。そういう意味では、日本はもしかしたら文化レベルが低いのかもしれません。豊かすぎて危機感がないのです。ら67度ぐらいで森林限界を過ぎま       す。そこにイヌイットとかエスキモーといわれる人たちが住んでいますが、彼らの主食はアザラシです。生で食べます。木が生えていないし流木もないので、火が使えないからです。鯨やセイウチなど海の大きな獣から脂が採れますが、これは照明用の貴重な脂です。ピュータやテレビを贈ります。すると、CNNテレビで簡単に世界を見られます。コンピュータをいじれるようになれば、世界のことが同時にわかります。ところが、カナダのバフィン島に住んでいる300人前後のエスキモーの村は、隣村まで500キロほどあります。飛行機は通っていません。犬ゾリが一番いいのですが、北極熊がいます。今はスノーモービルがありますからもっと機動力があるのですが、途中にガソリンスタンドはありません。だから、どちらの手段でも行けないのです。分は一生かかってもこの島から出ることができないことを知り、その距寒い国の話をすると、北緯66度かカナダ政府は、エスキモーにコンそうすると、村にいる青年は、自国境のある川、寒い国、暑い国、湿った国、乾いた国……関連が新たな関連を呼んで

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