機関誌『日本作業療法士協会誌』

運転と地域移動協力者会議 開催報告

2025年12月7日、運転と地域移動推進班が主催する「運転と地域移動協力者会議」(以下、協力者会議)をオンライン形式にて開催しました。本稿では、その概要を報告します。

なお、会議概要の報告に先立ち、運転と地域移動協力者(以下、協力者)について簡単に紹介します。協力者は、各都道府県作業療法士会に1名ずつ配置されており、士会員を中心とした作業療法士所属施設間の連携やネットワーク構築を担うとともに、関係機関との窓口機能を通じて、地域における対象者の自動車運転および地域移動、交通安全を推進するための取りまとめ役としての役割が期待されています。協力者は、各都道府県士会内の「運転支援班」や「運転ネットワーク」等の責任者が担当している場合が多く、日曜日の午後という時間帯にもかかわらず、今回の協力者会議には、46都道府県から協力者または代理者、担当理事等、計73名という多くの関係者に参加いただいたことに対し、改めて感謝申し上げます。本稿では、協力者会議の概要を以下の4項目に分けて報告します。

実態調査の結果報告

施設代表者および各都道府県士会協力者を対象に、2025年9月16日から11月15日にかけてWeb調査を実施しました。その結果、施設代表者510施設(回答率約7%)、協力者については46都道府県から回答を得ました。

施設代表者アンケートでは、223施設(44%)が運転および地域移動支援を実施していると回答し、支援体制として、シミュレータの導入や運転再開を目的とした訓練を実施している施設の割合が増加傾向にありました。また、実車評価への同行率も増加しており、路上評価は57%の施設で実施されていました。

協力者アンケートでは、運転と地域移動を扱う部署を有する士会が、前回調査(2023年)より7ヵ所増加の44都道府県となり、22都道府県で各都道府県指定自動車教習所協会連合会から法定講習における講師依頼(士会員への直接依頼を含む)がありました。そのほか、高齢運転者を対象とした啓発活動等への参画も拡大していました(図参照)。

全国的に運転支援体制の整備は着実に進展している一方で、施設代表者アンケートの回答率が低かったことから、結果の解釈には留意が必要と思われます。

運転と地域移動推進班の活動報告について

運転と地域移動推進班より、「一般社団法人日本自動車連盟(JAF)との連携」および「全国指定自動車教習所連合会(全指連)による左アクセルペダル事業」についての情報提供、高齢ドライバーの安全を支える「ドライビングストレッチ」や、JAF各支部と連携したイベントの取り組みが紹介され、作業療法士が地域の交通安全に関与する一例が示されました。

続いて、右下肢に障害のある方の運転再開を支援する左アクセルペダル対応教習車の普及に向けた取り組みや、教習指導員向け研修、教習所との連携事例、支援事例についての報告を行いました。

いずれも、作業療法士が「移動の安心と権利」を支える存在として地域に大きく貢献できる可能性を示す内容でした。

図 高齢者啓発イベント、研修会等での講師依頼数増加推移

各地における先進的な取り組みの報告

各地における運転および地域移動支援の先進的な取り組みとして、岩切良太氏(宮崎県作業療法士会)から、県内における自動車運転再開支援内容の統一を図るとともに、多職種および関係機関との連携を推進した「宮崎モデル」について紹介と、永島匡氏(株式会社ジョシュ)から東京都町田市において住民主体の地域移動支援事業に関与した事例が報告されました。運転および地域移動支援における作業療法士の役割は広がりをみせており、関係機関や地域住民と連携することで、新たな支援のあり方が期待されるところです。

ブロック別による情報共有について

参加した46都道府県の参加者は、地域ごとに6ブロックに分かれ、約1時間にわたるグループワークを行いました。グループワークでは、「実態調査からみる作業療法士の運転および地域移動への関与」「各都道府県におけるネットワーク構築や他団体との連携状況」「各都道府県が抱える課題および他士会に確認したい事項」の3つのテーマを設定し、地域の状況や課題について情報共有や活発な意見交換が行われ、さまざまな視点からの助言も得られる等、有意義な時間となりました。

グループワーク終了後の全体発表では、指定自動車教習所や免許センター等の他団体とのかかわりが増加していることや、評価シートやパンフレット等の共通化が進んでいること等が報告され、各地域において運転および地域移動支援の取り組みが着実に進展している状況が確認されました。

まとめ

今回の協力者会議は、全都道府県からの出席には至らなかったものの、各地域の実態の一側面や多様な取り組みについて情報共有が行われ、グループワークでは活発な議論が交わされ、作業療法士が運転および地域移動分野をさらに推進していくための契機となったと考えられます。一方で、複数の参加者から、今回の実態調査における「運転や地域移動支援を実施している」施設数と、各士会が把握している実態との間に乖離があるとの指摘もあり、今後は、調査方法や結果の解釈を含め、さらなる検討が必要と考えます。本協力者会議で得られた情報が、会議参加者にとどまらず、各士会員へも広く共有され、今後、運転および地域移動の推進において作業療法士が一層重要な役割を果たすことを期待しています。