9月25日は作業療法の日

作業療法にまつわるエピソード「あの日のできた」にたくさんの応募をいただきありがとうございました。
みなさまの「あの日のできた」をご紹介します。

「土いじり」

福岡県 坂口チヨ様

2025年5月2日
オクラとゴーヤの種・苗を植えました。いつの間にかりっぱに大きくなっております。とても楽しみで、自分がまいたタネが大きくなるのがとてもたのしみです。大きくなれ、なれ。オクラ、ゴーヤ楽しみですよ。

7月12日
自分でうえたゴーヤを見に行ってきました。大きくなって、りっぱに花がさいて、実もついております。とても楽しみにしております。はっぱをにおってみましたら、ちょっと、にをいがつよいです。
 


担当作業療法士からのことば

昔からいろいろな野菜を植えていたチヨさん、今年はゴーヤ、オクラを植えてみました。
プランターにゴーヤの苗や根をほぐしながら器用に植え、水やり、肥料のお世話などを一緒に行いました。認知症があっても慣れ親しんだ園芸を行うことで昔を思い出し、自分の想いを文章に綴れるなんてビックリしました。「大きくなれ、なれ」の文章が素敵です。
坂口チヨ様 昭和5年生まれ 95歳 「ありがとう、ここまで生かせていただいて、皆さんのおかげです」といつも感謝を口にされます。私もチヨさんのように歳を重ねたいと思っております。

 
 

みんなに会いたい~わたしの居場所~

東京都 黒森美那子 様

 とし子さんとのお付き合いは、約8年になります。
 当時は、シルバーカーで近所の買い物、バスに乗って駅前の美容院や病院受診もされ、杖も上手に使いながら外出していました。
年を重ねて、少しずつシルバーカーでの外出が基本になり、コロナ禍で外出制限もあり、バスでの外出が出来なくなった頃は、デイサービスに週1通所されていたものの、食事量や回数も減り、体重減少、家事なども大変になりました。ご家族からも一人での外出を控えるように言われ、自宅で過ごすことが多くなりなかなか外出の増回には至りませんでした。
 その頃、とし子さんの近所に、作業療法士が地域の方が誰でも気軽に立ち寄れるフリースペースを開所しました。とし子さんを誘ってみたところ、毎週火曜日を楽しみに、来所されるようになりました。
 玄関先の段差やフリースペースの入り口には階段が数段ありますが、自分の力で上がってきます。
 また、食事量も減っていたところ、仲間と一緒に食べるランチで、バナナやヨーグルトを持参され食べられるようになりました。
「この年で気の合うお友達が出来て嬉しい」と笑顔でお話されるとし子さんは、自分の意思で来所したいと思える居場所を見つけたようです。

「あきらめなくていいんだ」  

広島県 ひろこ 様

 わたしは現在94歳。瀬戸内海の島で一人暮らしをしています。
 週1回家に来てくれる作業療法士さんに「手が痛くて力が入らない。ペットボトルの蓋が開けられないんです」と相談しました。指を曲げた時に痛みがあることを言うと、作業療法士さんは「毎日少しずつグーパー体操をしてみましょう」と言いました。
「私には毎日時間がある。頑張ってみよう」と思い、体操に取り組みました。
 1ヵ月くらい経ったころ、ペットボトルの蓋を自分で開けることができました指の痛みもほとんどなくなり、力も入るようになりました。
 歳だからできなくなるのは当たり前だと思っていたけれど、あきらめなくてもいいと分かったことがとても嬉しかったです。

 



「今から」

北海道 たまちゃん 様

 私は夫と<第二の人生>を楽しみにしていたところ自宅で倒れ、外傷性の脳幹梗塞と診断された。リハビリを頑張って退院したが、その後の私には<何も無い>ことを実感した。大好きな仕事も主婦としても何一つ完璧にこなせず、時間だけが過ぎた。
 そんな時でも、<やりたいこと><やってみたいこと>に向けてリハビリを積み重ねていき庭を整理し眺めると楽しかったり、息子たちに会うために公共交通機関の乗車を何度も挑戦した!こうして、できることが増えて喜びを感じられるようになった。
 麻痺側上肢はうまく動かせないし、構音障害もあり通勤も無理だと思って、もう社会復帰はできないと思い込んでいた。だけど、<社会復帰への道しるべ>は作業療法士さんが「できてる!今のうまいよ!」とリハビリ中の声掛けが、私を「できるかもしれない!」と思わせてくれた。私にとっては、<今の私>なんだと思えた。今の私は前の私とは明らかに違うけど、今の私からスタートしようと思えた。今は仕事に繋がることができたので、本当に感謝しかないです。

 
 

「日課のコーヒーが飲みたい!」

岐阜県 三度の飯よりコーヒー 様

病気になる前は、1日に4~5杯はコーヒーを飲んでいた。好みの豆を買ってきて、それを自分で挽いて飲む。それが日課だった。入院していた頃、一度だけ看護師さんがコーヒーをごちそうしてくれたことがあった。おいしかったけど、やっぱり自分で挽いたコーヒーの方がおいしい。ここの施設に移ってからコーヒーが好きなことは隠していたけど、思い切って「コーヒーが飲みたい!」と言ったら、本当に用意してくれた。自分の愛用のコーヒーミルまで奥さんに頼んで持ってきてもらっていた。家にいた頃のように、豆を2種類ブレンドして挽くと…あ~、この匂い!味も自分好みでいつものコーヒーだ。本当は毎日飲みたいけど、週2回だけと言われている。でも、毎日飲ませてくれ~。

担当作業療法士からのことば

 最初の面談の時はコーヒーが好きなことは言われていませんでした。リハビリの休憩中に何気ない雑談をしている中で、「コーヒーが飲みたい」とつぶやきました。その理由を聞くと、1日に何杯も毎日飲んでいたことが分かり、この方にとっての大事な日課だと感じました。必要な物をそろえれば、あとはご自身で全てやっています。コーヒーは匂いがあり(豆を挽くこともするのでさらに匂います)、周囲に気を使わなければいけません。施設では自分の飲みたい時に飲むことはできませんが、少しでも家での日課ができるようにしています。私もあの豆を挽いている時の香りが大好きです。