ひとは作業をすることで元気になれる

■作業療法士と関わる、対象者との時期別MTDLP事例


 右大腿骨頸部外側骨折を受傷した90歳代後半の高齢女性(Aさん)、骨接合術2日目から作業療法士が介入し生活行為向上マネジメントを行った経過を以下にお示しします。


◆聞き取り◆
Aさん:家族の朝ご飯の準備や大切に育ててきた花の世話をしたい。
家族:一人でお風呂にはいれるようになってほしい。料理ができてほしい。

◆状況分析◆


◆自己評価◆
 3ヵ月後に自宅退院し手すりや福祉用具を使って入浴動作が自立する。
歩行器を使用し屋内外を移動できる、家族(娘)支援のもと、朝食用に簡単な料理を作ったり、プランターの花の世話ができる。
【実行度1 満足度1】

◆プログラムの実施◆


◆途中点検◆
 介入初期に家族(娘)同席のもと、自宅訪問を実施。退院に必要な課題を数値化し、目標にとして提示。
→退院後生活に不安のあったAさんが、道筋が見えたと安堵され、意欲的にリハビリテーションを取り組むようになった。
 Aさんが病棟でできること(
歩行や花の世話など)を看護師に伝え、日課として行った。
調理・花の世話など、家族(娘)も参加して作業療法にて練習を行った。

◆結果評価◆
 介護支援専門員同席での退院前訪問を3回行い、自宅環境での動作を確認、活動しやすい環境を提案し、調整した。必要に応じて福祉用具専門相談員とも相談しながら行った。
 3ヵ月後、 Aさんは退院時に屋内を歩行器を使って歩行し自宅へ。退院前担当者会議で訪問リハビリテーションへ引き継ぎ、花の世話、朝食用に加えて夕食用の副菜作りも行っている。 
【実行度7 満足度8】

◆今後に向けて
 多彩な趣味をもち、人との交流を好むAさんの個人因子(個性)を考えると、デイサービスと合わせて、地域での同世代で同じ趣味を持った人の活動の場、サロン活動へ参加を検討することを介護支援専門員へ申し送りした。

◆担当作業療法士より◆
●本取り組みで良かった点
生活者であるAさん、ご家族が退院後の生活行為のイメージが湧くよう数値化した目標を提示し、共有したこと、作業の実動作を多く取り入れた支援を実施したことが主体的参加の促進につがりました。
●工夫した点
Aさんの回復時期に合わせ、Aさんを支援する多職種と連携を図りながら情報交換を行い、随時支援内容を更新していきました。支援する多職者同士の顔を合わせたやり取りが重要でした。