こんなところで!作業療法士

作業療法士の視点を伝える「島ぐるみ」の支援

こんなところで作業療法士

地域包括ケアシステム

おもと会大浜第二病院・内間利奈さん
 沖縄県に数多く点在する離島。そこで暮らす人たちを支える、医療・福祉の体制には、多くの課題がある。そんな離島地域への支援に取り組む作業療法士に話を聞いた。

デイサービスのスタッフに、作業療法士の視点からみた福祉用具の調整ポイントを伝える。

デイサービスのスタッフに、作業療法士の視点からみた福祉用具の調整ポイントを伝える。

 四方を海に囲まれた日本では、300ほどの有人島があるという。そうした離島では、アクセス的な問題から、物的・人的に医療介護サービス資源が乏しい場合が少なくない。その一方で、高齢化率はあまり高くないのだという。「たとえば沖縄県の離島によっては、高齢化率が全国平均を下回ります。これは、要介護状態になると、生まれ育った島に戻らずに本土で過ごすことを意味していると考えられます」と話すのは、沖縄県の医療法人「おもと会」大浜第二病院の作業療法士、内間利奈さんだ。

 「おもと会」では2001年から離島への支援を行っている。沖縄県から受託した沖縄県南部圏域の「地域リハビリテーション広域支援センター」事業の一環として、久米島への離島支援をはじめたが、2005年に同センターの事業が終了してからも、地域におけるリハビリテーションの支援体制の必要性は高く、おもと会では独自に「おもと会地域リハビリテーション支援センター」を設立、そのなかで、久米島・渡嘉敷島・粟国島への離島支援を継続して行っている。

 2011年から同会の離島支援にかかわっている内間さんは「もともと地域での在宅生活に、作業療法士としてどうかかわれるのかということに興味があったため、前任者から引き継ぎの要請があったとき、自己研鑽の一環として関わらせていただくことにしました」と話す。

 作業療法からみた離島での生活の課題には、次のようなものがあると内間さんは話す。「(沖縄)本島では当たり前のように受けられる介護サービスなどの社会資源が、非常に限られています。訪問看護や訪問リハビリテーションなどは実施されておらず、リハビリテーションを行える場所は、デイサービスや外来リハビリテーションのみです」。デイサービスのスタッフが、知識や経験のない手探りの中で、リハビリテーションをせざるを得ないのが実情だという。

 おもと会の離島支援は以下のような内容だ。月1回、作業療法士・理学療法士・言語聴覚士が、飛行機で来島し支援する。自宅への訪問や、デイサービスに5~9件介入する。対象者は久米島町の保健師があらかじめ選出しておき、当日は保健師、対象者のケアマネジャー、デイサービスのスタッフ、家族なども同席することが多い。こうした毎月の支援以外にも、年1回、同センター主催での講習会を開催している。また年度末には町役場にて反省会を実施し、支援メンバーと、リハビリテーション統括科長、久米島町の担当者、デイサービスのスタッフ、ケアマネジャーなどが集まり、1年の振り返りと来年度の目標を共有する。「私たちが来訪できる機会は限られています。離島の人たちの生活の細かな部分まで、継続的に支援するには限りがあるため、こうした支援のなかで、デイサービスのスタッフに、リハビリテーションの視点をもってもらえるような支援を心がけています」と内間さん。

 具体的には、作業療法士がいないときでも生活行為の向上が継続できるように、福祉用具の調整や、認知症の方に対する接し方、ADL(生活行為)やQOL(生活の質)の維持や向上にかかわる事などを島の人たちが支援する。内間さんは「対象者だけに直接介入するのではなく、対象者の生活を支えている方へ、生活におけるリハビリテーション的な視点を伝えるように心がけています」と言う。その視点をもって日々の生活支援を行えば、対象者の生活向上に繋がり、さらに、同じ課題をもった方へも一般化でき、離島において重要な予防事業としての役割を果たすこともできるのだという。

 作業療法士をはじめとするリハビリテーションスタッフの支援によって、島の限られた社会資源が活性化し、島の人たちだけでも、作業療法士の視点をもって対象者の生活を見守り、支援することができるようになる。おもと会が「島ぐるみ」の支援を行う目的は、そこにある。

年1回の振り返りと来年度の目標を共有する。

年1回の振り返りと来年度の目標を共有する。

■施設情報
医療法人おもと会 大浜第二病院
〒901-0215 沖縄県豊見城市字渡嘉敷150
電話:098-851-0103