私のスタートライン

患者さんとも、先輩・同僚とも「よいコミュニケーション」が一番大切

私のスタートライン

太田西ノ内病院・佐久間育美さん
 福島県郡山市の太田西ノ内病院に勤務する作業療法士、佐久間育美さん。リハビリテーションの仕事で大切なのは、「コミュニケーション」と「関係性づくり」だと言う。

太田西ノ内病院・佐久間育美さん

 2018年11月から「循環器・呼吸器」チームの一員として、循環器・呼吸器系疾患の方の作業療法を担当しています。当病院では、入職してから数年の間、さまざまな領域の経験を積むことができるようにという意味もあって、比較的短時間で配置転換しながら、病院内のさまざまな領域を担当します。これまでは、脳疾患や整形外科疾患の方々の作業療法を行ってきました。

 循環器・呼吸器のリハビリテーションは、まだ慣れないということもありますが、とにかく「流れ」が速いんです。脳疾患や整形外科疾患の方はある程度まとまったリハビリテーションの期間が取れるのですが、循環器・呼吸器の患者さんは、今日リハビリテーションがはじまって、数日後には退院ということも珍しくありません。そんななかで生活動作の評価をし、負荷のかかる動作を洗い出して、より負荷のかからないような動作のしかたを一緒に考えたり、患者さんにあった環境を調整するなどの介入をしなければなりません。その一つの例が、入浴練習です。入浴は日常生活活動の中で負荷の強い活動の一つなので、なるべく疲れないよう、息切れしないような入浴の方法や環境を、一人ひとりにあったかたちで見つけていきます。

 もともと医療・福祉職には興味があったのですが、姉※注のことがあってから、とりわけリハビリテーション職に触れる機会が多くなり、興味をもつようになりました。はじめは作業療法士と理学療法士の区別もつかなかったのですが(笑)、高校2年生の時に、身体の機能面に特化した理学療法士よりも、生活面に特化した作業療法士の方が、自分のやりたいことに近いのではないかと思い、作業療法士を目指すことに決めました。

 この仕事で一番大切なことは、相手との関係性をどう作っていくか、だと思っています。たとえば、私は普段はけっこうよくしゃべる方だと思いますが、患者さんと向き合うときには、相手にあわせたコミュニケーションをするように心がけています。あまりこちらから話しかけないほうがいいな、と判断できる場合にはじっくり話を聞くようにします。もちろん、たくさん話しかけて元気づけてあげたほうがいいな、と思えば、積極的に自分から話しかけるようにします。4人きょうだいの中の一番下で育ったからか、相手が今何を考えていて、どうしてほしいと思っているのかをつかみ取るのが得意な方かもしれません。関係性を作ることで初めて、相手の望んでいることを理解したり、悩み、不安を取り除くことができるのだと思います。

 今の職場はみなさんやさしくて、どんなに忙しくても私たち若手の質問に丁寧に答えてくださいます。こうした風通しのよさが、情報共有のしやすさにつながっていると思います。今後、後輩も入ってきて、私も責任ある立場になっていくのかもしれませんが、人の上に立つといったことをあまり意識せず、ただ私がとても大切に思っている、誰にでもやさしく教えあう職場の雰囲気を守り、下の人にも伝えていければ、と思っています。

注:『OTのスゴ技』で紹介した佐久間桃子さん。高校2年のときに脊髄損傷により鎖骨から下が麻痺する)

患者さんとも、先輩・同僚とも「よいコミュニケーション」が一番大切

■施設情報
一般財団法人太田綜合病院附属 太田西ノ内病院
〒963-8558 福島県郡山市西ノ内2-5-20
電話:024-925-1188(代表)