「生活行為向上マネジメント」に係る協会の基本方針

「生活行為向上マネジメント」に係る協会の基本方針

 協会は平成20年度以来、厚生労働省老人保健健康増進等事業の国庫補助により「生活行為向上マネジメント」に関する一連の研究に取り組んできており、今年度も「生活行為向上の支援における介護支援専門員と作業療法士との連携効果の検証事業」として研究継続中である。本研究の概要や主な成果については、協会のホームページや各媒体(昨年度の会報『日本作業療法士協会ニュース』№356~362や機関誌『日本作業療法士協会誌』№2など)を通して繰り返し報告してきたところであるが、協会機関として本研究をどのように位置づけ、協会事業の今後の取り組みにどのように活かし繋げていくのかが十分に明確にされてこなかった。そこで協会理事会は今年度2回の勉強会と2回の審議を通して本件について検討し、職能団体としての位置づけ、学術団体としての位置づけに関する次の基本方針を確認し承認したので報告する。

 

<基本方針>

1.職能団体としての位置づけ――国、関係団体への対応
 (1) 自立支援型医療・介護(生活行為向上)を行うための手法として、本手法が制度(「居宅療養管理指導料」等)に組み込まれるよう働きかける。制度に反映されなかった場合においても、その有効性に鑑み、働きかけを継続する。
 (2) 居宅療養管理指導料が新設された場合に備え、生活行為向上マネジメントの普及を協会事業(会員向け・他職種向け研修会)として行う。
 (3) 他職種にとっても分かりやすく、介護職も使い得るツールに改良し、普及を図る(考え方を共有し、介護職との連携を図る)。
 (4) 都道府県作業療法士会での取組みの支援(人材派遣、資料、データ収集等)を行う。

2.学術団体としての位置づけ
 政策研究としての取組みに加え、協会の部署活動として取り組んでいく。
 (1) 自立支援型医療・介護(生活行為向上)を具体化する一つの手法として位置づける(当面はモデルという言葉は使用しない)。
 (2) 混乱を避けるために、早急に用語の定義、グレーディングの明確化などの評価手法の改善等、手法の精緻化を図るとともに、他の作業療法モデルとの整合性を検討する。
 (3) その上で、発達障害、精神障害、身体障害の就労支援等にも応用可能性の可否を探る。
 (4) 生活行為向上マネジメントの質を担保するため、知的所有権について急ぎ検討し、登録を行う。
 (5) 上記の種々の課題に対応するために、「生活行為向上マネジメント推進プロジェクト」を設置する。

3.その他
 (1) 第16回WFOT大会2014 において、日本作業療法士協会の取組みとして紹介する。
 (2) 第二次作業療法5ヵ年戦略の中で位置づける。
 (3) 作業療法ガイドラインの中で位置づけについて検討を進める。