誰もが主役になる多様な協会を目指して 第2回 理事の役割と本会の取り組み①: 役員選挙における候補者クオータ制導入
「誰もが主役 多様な協会へ」というスローガンの下、日本作業療法士協会(以下、本会)はクオータ制(性別だけではなく、人種や宗教等を基準に、一定の比率で人数を割り当てる制度)を導入し、役員選挙や代議員選挙を行っていくことを前号でご紹介しました。引き続き、連載で役員選挙や代位議員選挙、クオータ制について解説していきます。
はじめに
2025年度より、多様性に満ちた会員の視点に立った協会活動を実現するため、まずは性別(ジェンダー)に着目し、役員選挙における候補者クオータ制を導入しました。この取り組みによって、組織構成に偏りがない運営を目指す本会にとって大きな第一歩を踏み出すことができたと言えます。この制度は今後、本会の多様な会員構成を反映した組織づくりに寄与すると考えています。
候補者クオータ制導入に伴い、役員選挙に関心をもち、今後の役員選挙へ立候補しようと思った方もいるかもしれません。そこで、本稿では、クオータ制導入の意義や理事に求められる役割、役員選挙候補者クオータ制導入の取り組みを紹介していきます。
期待されるクオータ制の意義
先にも述べたように、クオータ制を導入することは、本会の多様な会員構成を反映した組織づくりに寄与します。その先に、会員一人ひとりが主役であり、会員の視点に立った、会員のための多様な協会活動が実現していくことが期待されます。
しかし、多様な会員の構成、価値観、意見を一度に反映することは困難です。そこで、まずは役員の男女比のバランスを整え、多角的な視点を取り入れるためのジェンダー・クオータ制を役員選挙における候補者から段階的に進めていくこととなりました。ジェンダー・クオータ制の実績を積み重ねながら、今後は世代、領域等、さまざまなクオータ制導入を検討していきます(図参照)。

役員選挙における候補者クオータ制導入の取り組み
役員選挙における候補者クオータ制導入に伴い、本会では過去にも、会員一人ひとりが多様な協会活動に参画していけるように、周知啓発を目的とした本誌連載記事やロゴの作成、協会ホームページ内のPICK UP「誰もが主役 多様な協会へ」を通じて役員選挙の紹介や推進チームの活動紹介動画等を紹介してきました。
いよいよ来年は、クオータ制導入後2回目となる役員選挙が実施されます。役員の候補者に割り当てる人数は、役員の最多定数のうち、男性で3割以上、女性で3割以上とします。3割の理由としては、少数派が意思決定の場において無視できない影響を及ぼすようになる分岐点を一般的に「クリティカル・マス」と言い、世界的に見て30%がその基準的な数値であるとされているからです。もし、上記の割合を満たさなかった場合は、候補者が8名になるまで理事会より推薦候補者を追加選定します。
制度の詳細やこれまでの周知啓発資料等は、こちらをご参照ください。
役員に求められる役割
では、本会が目指す「会員の視点に立った会員のための協会活動」を実現するために、役員(理事・監事)にはどのような役割が求められているのでしょうか。
役員の役割は定款に定められていますが、簡単に言えば「理事は協会をより良く運営するために、協会運営の重要事項について話し合い、その方向性を決定する」ことです。特に年6回開催される定例理事会では、協会が取り組むべき事業について議論し、事業計画や予算を決定するとともに、それらの事業が適切に進められているかを確認・監督しています。そのため、役員には、社会や制度の変化を踏まえ、今、作業療法士に何が求められているのかという視点をもつことに加え、会員一人ひとりの声に耳を傾け、その思いやニーズを協会運営に反映していくことが求められます。
こうした役割を果たすためには、さまざまな分野や地域、経験をもつ作業療法士が役員として参画し、多様な視点から意見を交わすことが重要です。その積み重ねが、これからの作業療法のあり方、そして作業療法士協会のあり方をより良いものへとつないでいくことにつながります。
おわりに
2025年度より導入された役員選挙における候補者クオータ制は、私たち会員一人ひとりにとっても重要な制度の一つであり、これを持続的に運用していくことは、多様性のある協会活動を実現していくことにつながります。本会にとって、会員一人ひとりにとってより良い活動が展開できるように、会員と役員が双方向に参画していくことが必要となります。

