学会NOTE~OT学会 新潟で満たされましょう~ 第1回 学会テーマと学会長の思いに触れよう!

第60回日本作業療法学会(新潟)のご案内
テーマ脳機構から読み解く作業療法の挑戦 ─『作業』によってあなたも私も満たされる─
会 期:〈現地開催〉2026年11月20日(金)・21日(土)、22日(日)※日曜日午前で終了
    〈オンデマンド配信〉2026年11月20日(金)~2027年1月11日(月)
会 場:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
学会ホームページhttps://ot60.umin.jp/index.html
学会長:種村 留美(関西医科大学リハビリテーション学部)

第60回日本作業療法学会ロゴ


 

今回のメインテーマは「脳機構」

第60回日本作業療法学会のテーマは、「脳機構から読み解く作業療法の挑戦―『作業』によってあなたも私も満たされる―」です。

私は46年間、高次脳機能障害の患者様に携わってきました。初めは1例1例の高次脳機能障害のある方の症状をさまざまな観点から紐解き、「なぜそうなるのか、どうしたら改善できるのか」を、仮説を立てて作業療法の治療を考えてきました。よくなったケースは必ず学会発表させていただきました。そうでないケースはさらに考えました。たくさんの症例検討会を病院や地域、SIGで行いました。そのうち、病院から地域に出たら、当事者に加えてご家族の困りごとが深刻であるし生活全体の問題をみていかなければいけないことを理解しました。「生活全体となると拡いぞ、家族の困りごとは無限大で深刻だ、うーん、時間が足りない!」。それでも一人ひとりに丁寧に向き合っていかないといけません。十分であるとは言えないかもしれませんが、今は、長いお付き合いとなった当事者の方とご家族の困りごとに向き合い、解決策を探り、また見直しをし、当事者の方の人生に寄り添わせていただいています。

そんななかから「脳機構から読み解く作業療法の挑戦」というテーマが生まれました。ヒントをくださったのは、第8回アジア太平洋作業療法学会(APOTC2024)の懇親会でお話をした兵庫県作業療法士会の会員の方です。「作業療法の効果がどう脳機構に働いているのかを知りたい」という内容でした。本学会のもう一つのキーワードは「作業」です。せっかくの日本作業療法学会ですので、素晴らしい作業療法を現場で行ってきた、あるいは行っている作業療法士の生身の「作業」を聴きたい!と思い、副題を『作業』によってあなたも私も満たされる、としました。

テーマを基に、何度も何度も練って企画したプログラムは次項でご紹介します。

なお、学会長講演は、「脳機構から読み解く作業療法の挑戦―『作業』によって満たされたるもの・ひと・こと―」です。講演のなかで、当事者の方に映像でご登壇いただこうと思っています。

 

 

主なプログラムをご紹介

招待講演は、グラスゴー大学教授のJonathan Evans先生に、「神経心理リハビリテーションにおける多職種間協働のフォーミュレイションの重要性」をお願いしました。Evans先生とは、2001年にアメリカやイギリスで同時多発テロがあったその1週間後、予定していた視察旅行を思い切って決行した時が初めての出会いでした。Evans先生が所属していたオリバーザングィルセンターで、神経心理リハビリテーションを1週間学びました。その時に初めてイギリスで展開されていた多職種間協働の話を聞いて、こんなに進んでいるんだと驚いたものです。それ以後もEvans先生には、第42回日本高次脳機能学会でもご講演いただいたり、男女共同参画について文科省のファンドで訪問させていただいたりと、長い間お世話になっている先生です。当日は、さらに発展した高次脳機能障害に特化した多職種協働の話が聞けることと思います。

国際部からは、「多様性と協働の時代における作業療法―協会のグローバル化と多文化共生への挑戦―」というテーマで企画していただいています。世界の作業療法士協会では、移民・多文化社会への適応、文化的安全性の確立等が重要課題となっており、本会でも「海外研修助成制度」「外国資格OT・外国OTS受け入れ支援事業」「多様な文化的背景をもつ外国人に対する作業療法ガイドライン」等の新しい取り組みが進められています。作業療法の「グローバル化」と「多様性への対応」についてのシンポジウムは、第60回記念大会にふさわしい国際企画として、期待大です。

基調講演は3題、教育講演とシンポジウムは4題です。いずれもご紹介をいただいたり、私自身が書籍等読んで感動したりと強く興味を抱き、「先生方の話を拝聴したい!」と願ったご講演ばかりです。

基調講演は、京都大学医学部付属病院の宮本享先生「脳卒中の就労支援」、足利赤十字病院の船山道隆先生「なぜ怒りが湧いてくるのか?―社会行動障害の病態と治療―」、東京大学の竹内春樹先生「匂いと認知症予防」の3題になります。

教育講演は、京都大学名誉教授の乾敏郎先生「知覚・認知・運動・感情・意思決定をつなぐ自由エネルギー原理」、落語家またき亭いっぱい様より「落語を通した啓発活動―統合失調症からのリカバリー」、京都橘大学の小川敬之先生「『人となり』からみた認知症支援」、慶応義塾大学予防医療センターの三村将先生「運転と認知(仮)」の4題です。またき亭いっぱい様のご講演は、主治医や担当精神保健福祉士等、支援者の立場の先生方からもお話をいただく予定です。

シンポジウム4題は、「ライフステージを横断する脳損傷の作業療法―病巣・症候と困難事象との関連を読み解き、よりよい介入を導く―」、「手外科疾患における多角的アプローチ」、「発達障害作業療法の脳機構を紐解く」、「精神科作業療法最前線―地域で暮らす精神障害者に対する専門・移行ショートケアの実践報告―」の4題で、作業療法がかかわる疾患についてのシンポジウムとしました。熱いトーク炸裂を期待します。

  

  

今回も充実の教育セミナー

教育セミナーは今回15題(仮題を含む)とし、豪華ラインナップです。「高次脳機能障害作業療法の最前線―脳機構と症状から核を見出し、事例を読み解く―」、「脳機構に基づくICU作業療法―超急性期から認知・精神機能障害に挑む―」、「認知障害とがん作業療法」、「QOLを測るときに知っておきたいことのすべて」、「観光資源を利用したパーキンソン病の作業療法」、「こころとからだと脳を癒す園芸作業療法」、「脳卒中を脳機構から読み解く専門作業療法士の挑戦」、「人のこころと脳機構―社会適応のための理解―」、「インクルーシブ教育システムとしての学校作業療法室」、「コミュニティに住まう高次脳機能障がいの作業療法」、「臨床実践における3Dプリンターの活用」、「作業療法に活かす回想法~対象者との相互作用に着目して~」、「アントレプレナーシップ教育の導入と実践(仮題)」、「“食べる”を支える:摂食嚥下障害・低栄養に対する作業療法の実践」、「作業が脳を再編する―CI療法実践からの示唆―」となっています。講師の方々のお名前については誌面の都合上、学会ホームページをご確認いただけますと幸いです。フレッシュな作業療法士にもベテランの作業療法士にも新鮮な話題を学べる機会となりますように。

また、今回もアフタヌーンセミナーを企業様より3テーマ、ご協力いただきます。ランチョンセミナーはありませんが、午後のひと時をアフタヌーンセミナーでお楽しみください。

新潟は、米どころで酒どころ。おにぎりからスイーツ、日本酒まで余すところなくおいしいところです。新潟学会で、脳も食も満たされてください。心よりお待ち申し上げております。

開会式のイメージ(写真は第59回のもの)