オーストリアの作業療法学生による日本でのインターンシップ

国際部国際交流課では2023年度より、外国の作業療法士養成校に在籍する学生(以下、OTS)や作業療法士の見学・実習等の実現を支援しています。本稿では、オーストリアOTSのAlexandra Varsekさんが2025年9月より2ヵ月半、日本で行ったインターンシップについてご紹介します。このインターンシップは本会がAlexandraさんから問い合わせを受け、受け入れ先とのマッチングを支援したことにより実現しました。以下はAlexandraさんに英語でご執筆いただいた体験を和訳した文章です。

本会は今後も外国OTSの受け入れ可能な施設を増やし、ネットワークの構築を目指していきます。受け入れに興味がある方はぜひ国際部(dep.international★jaot.or.jp メール送信の際は★を@に変えてください)までお問い合わせください。

 

 

緊張とワクワクのインターンシップ体験

2025年9月、私はオーストリアにあるHochschule Campus Wienを卒業してまもなくERASMUS+(欧州連合が提供する、留学する学生を対象とした奨学金制度)を利用して、神奈川県にある済生会東神奈川リハビリテーション病院でGraduate internship(多様な経験の獲得を目的として卒業後に行われるインターンシップ)を始めました。不安もありましたが、とてもワクワクしていました!

ニューロリハビリテーションを専門とする同病院では、作業療法士もクライエントも言語的なバリアに親切に対応してくださいました。英語で話しかけてくれたり、翻訳アプリを使ったり、通訳するために間を取りもってくださいました。
私はやる気をもって基本的な日本語を勉強しました。作業療法に関連するキーワードやフレーズを学ぶことに注力し、クライエントに直接話しかけられるようになりました。

オーストリアの作業療法事情等について発表

  

 

交流は言葉だけで行われるわけではない

やがて、クライエントと「同じ言語で話さなければかかわることができないわけではない」ということに気づきました。

クライエントとの結びつきは、たとえば「習字を一緒に行う」等、作業療法での活動をともにすることによっても成し得るのです。クライエントが「日本で外国人と過ごすこと」自体が、意味のある治療効果をもたらすようにもなりました。時にはクライエントに書道の先生としての役割を担ってもらい、私は生徒として学びました。さらに、クライエントの一人は自ら進んで私に日本の言葉や食事、そして文化について教えてくれました。

多くのクライエントは私に興味を示し、積極的に交流してくれました。たとえば熱狂的な野球ファンのクラエイントとの交流では、私は大谷翔平選手や長嶋茂雄氏等をモチーフにしたカードゲームを考案し、クライエントの野球に関する知識を共有しようと工夫しました。また、海外生活という共通の経験を通じて打ち解けたクライエントもいました。こうした交流は単なる社会的な活動を超え、記憶、注意機能、空間認知、言語能力といったニューロリハビリテーションに寄与するものであり、意味のあるかかわりを通じて成し得たものなのです。

クライエントと習字を行うAlexandraさん

 

 

スーツケースをいっぱいにしたもの

ほかにも北里大学の髙橋香代子教授を訪ねたり、仕事終わりに食事に行ったり、訪問リハビリテーションを見学したり、12週間はあっという間に過ぎました。済生会東神奈川リハビリテーション病院の田原正俊さんの日々のご指導としっかりと構成された計画によって、私は自身のクリニカルリーズニングや日本におけるニューロリハビリテーションについての理解を深めることができました。心温まる送別会の後は、皆さんにお別れを告げなければなりません。日本を出発するにあたり、私のスーツケースは富士山のお土産やガチャガチャだけでなく、仲間との昼食やクライエントとのかかわり、シェアハウスでの友人との時間、そして日本の暮らしをのぞいてみた愛おしい記憶でいっぱいになっていました。

田原正俊さん、猿爪優輝さん(国際部員、外国資格OT・外国OTS受け入れ支援事業担当)、そして日本作業療法士協会に対し、この経験を実現してくださったことを感謝します。

病院スタッフとの記念写真