MTDLP指導者の実態分析~地域・実践領域からみた育成と活用の課題~

はじめに

MTDLP室では、生活行為向上マネジメントの普及と質の担保を目的に、MTDLP指導者の養成を進めています。今回、2026年4月1日時点のMTDLP指導者323名を対象に、指導者の属性や地域分布、実践領域について分析を行いました。2023年に行った第1報から2年間の変化も踏まえながら、MTDLP指導者の現状と今後の課題について報告します。

 

 

第1報からみた指導者数の推移

2023年時点では、MTDLP指導者数は247名であり、認定作業療法士取得者が約6割、臨床実習指導者講習会修了者が約9割を占めていました。また、経験年数11~20年の中堅層が中心であり、医療領域および身体障害領域に偏りがみられることが特徴として挙げられています。

2026年4月時点で、指導者数は323名となり、2年間で76名増加しました。伸び率は31.3%であり、年平均伸び率は14.6%でした。一方で、会員全体からみると、MTDLP指導者は依然として少数であり、割合としては約0.5%程度に留まっています。

 

 

指導者層の専門性と経験年数

認定作業療法士は、323名中209名が取得しており、全体の65%を占めていました。 MTDLP指導者の多くが一定の専門性を有していることが示されました。

また、臨床実習指導者講習会の修了者は301名で、全体の93%でした。 このことから、臨床実習においてMTDLPを活用しながら学生指導が可能な人材が全国に一定数存在していることもわかりました。

作業療法士免許取得後年数(図1)については、平均18.9年、中央値17年であり、11年以上の経験を有する者が294名と全体の約91%を占めていました。 特に11~20年の層が166名と最も多く、中堅からベテラン層がMTDLP指導者の中心となっていました。一方で、経験年数5~10年の若手層は29名に留まっており、今後は次世代を担う若手指導者の育成が重要になると考えられます。

平均経験年数:18.9年 中央値:17年

図1 作業療法士免許取得後年数(経験年数)

 

  

実践領域からみたMTDLP指導者の特徴

主たる領域(図2)では、医療関連が170名で全体の51%を占め、次いで介護関連73名、作業療法士学校養成施設42名でした。 主たる業務内容では、臨床従事者が258名と約8割を占めており、実践的な臨床経験を背景にした指導者が多い構成となっていました。

主たる障害種別(図3)では、身体障害領域が194名、老年期障害領域が77名であり、両領域で全体の約84%を占めていました。 一方で、精神障害領域は20名、発達障害(小児)領域は10名と少数でした。MTDLPは幅広い領域での活用が期待される一方、現状では身体障害・老年期領域の占める割合が高い構成となっていることが明らかとなりました。

医療領域が半数以上→ 医療関連のMTDLP実践が中心

図2 臨床における専門領域の分布①:主たる領域

 

身体・老年期で全体の約8割を占める

図3 臨床における専門領域の分布②:主たる障害種別

 

 

地域分布の特性

地域分布(図4)については、大都市圏や学校養成施設、基幹病院が集積している地域に指導者が集中していました。北海道26名、兵庫県21名、福岡県14名、東京都・愛知県・埼玉県、福島県が各13名と比較的多い一方、半数以上の県で10名未満という状況でした。 また、一部地域では指導者数が少ない県もみられ、地域差が存在している一方で、MTDLP指導者は全国に一定数分布していました。

地域ブロック別では、中部地方と関東地方で全体の約35%を占めていました。 一方、四国地方は4.7%、北海道は8.0%と比較的少なく、研修機会や指導者同士の交流機会へのアクセスに地域差が存在する可能性が考えられました。

MTDLP指導者は全国に一定数分布しているが、地域偏在は存在

図4 地域別にみたMTDLP指導者数の分布(都道府県別)

 

 

地域ごとの増加傾向

2023年から2025年にかけて、全体の約7割の都道府県で10%を超える増加が認められました。 特に、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、山梨県、愛知県、大阪府、和歌山県、大分県、沖縄県では高い伸び率(50%超)がみられました。地域ごとの取り組みや養成体制の違いが、指導者数の増加率に関連している可能性が考えられました。

 

 

今後の育成と活用に向けた課題

これらの結果から、MTDLP指導者は全国的に増加傾向にあるものの、地域や実践領域には依然として偏在が存在していることが明らかとなりました。特に、精神障害・発達障害(小児)領域、若手世代、指導者数の少ない地域への支援は今後の重要な課題と考えられます。

今後の施策としては、指導者数が少ない地域を重点支援地域として可視化し、指導者派遣や育成支援を行うことも有効と考えられます。

さらに、MTDLP指導者名簿の公開に伴い、各都道府県作業療法士会において、MTDLP指導者の情報を会員へわかりやすく提供し、地域のMTDLP推進担当者と指導者との連携を強化していくことも重要です。

 

 

おわりに

MTDLP指導者は、認定作業療法士を中心とした中堅・ベテラン臨床家が多く、医療・身体障害領域に集中していることが明らかとなりました。一方で、精神障害や発達障害(小児)領域、若手世代、地域偏在への対応は今後の大きな課題です。

MTDLPを全国で安定して普及・活用していくためには、指導者の質を維持しながら量的拡大を図るとともに、地域や実践領域の偏在を是正し、全国どこでもMTDLPが学べ、臨床での実践と指導に参加できる体制づくりが求められます。そのための方策として、MTDLP室では今年度、MTDLPを活用したモデルの提示と取り組みを推進します。指導者育成や学ぶ環境の整備を進めるため、パンフレットや協会著作物の改訂、新たなMTDLP事例の公開方法の検討を実施していきます。