医療職関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会 報告

はじめに

2040年頃にかけて、医療と介護の複合ニーズを抱える高齢者の増加と生産年齢人口(15歳~64歳人口)のさらなる減少が見込まれるとともに、18 歳人口の減少によって医療関係職種の学校養成施設の定員充足率が近年低下傾向にある(作業療法士養成施設における定員充足率については図参照)等、今後、医療関係職種の養成・確保は一層の課題となっていくことが見込まれます。また、こうした医療関係職種の養成・確保を取り巻く環境の変化は、地域によって大きく状況が異なるため、その実情に応じた対策を講じていくことが必要となります。 

地域において将来にわたって必要な医療が持続的に提供されるよう、各地域の人口の推移や新たな地域医療構想の策定等の状況を踏まえ、18歳人口の減少が急激に進むなかでも必要な医療関係職種を安定的に養成・確保していく観点から迅速な対応を行うことが求められます。

こうした現状および昨年度の社会保障審議会医療部会での議論を踏まえ、厚生労働省は、地域において必要な医療関係職種の安定的な養成・確保のあり方について、関係者による専門的観点から検討会を開催し、検討を始めました。

図 都道府県別でみる作業療法士学校養成施設の定員数・定員充足率(第2回 医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会 資料2より抜粋)

 

●第2回検討会資料はこちら

 

 

リハビリテーション専門職を含む12医療専門職種の養成・確保策の検討開始

「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」(以下、検討会)は、第1回:5月7日、第2回:5月25日に開催され、今後も開催が予定されています。検討会の構成員は、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、診療放射線技師、救急救命士、臨床工学技士、義肢装具士、視能訓練士、歯科衛生士、歯科技工士、臨床検査技師の各団体に加え、医師・歯科医師、看護師、病院団体、関係する学校養成施設の代表者等、計24人です。

厚労省医政局の森光敬子局長は検討会の開始にあたり、「地域で必要な医療が持続的に提供される体制を整備するため、各職種の状況を把握しながら、職種共通の課題について、養成の現場、医療現場、地域、都道府県、国等の関係者が一体となって対応すべき事項や枠組み、各職種横断的な課題に関する具体的な内容を検討することが重要」と述べました。

若者や社会人等の「なり手」の確保、養成体制の整備、養成から現場への円滑な接続、働く環境の改善、地域における推進体制のあり方等が論点として示され、構成員による活発な意見交換がなされました。本会からは、構成員として山本伸一会長が参画しています。山本会長は各論点について次のように発言しました。

 

◎養成体制の整備について

産業界から医療への人材移動、中高年の学び直し、女性の再就業等に対する対応が重要であるとともに、特に社会人の方に対するリカレント教育に関して意見を述べました。作業療法士学校養成施設の入学者4,000人超のうち、4~5%が社会人の入学になっており、社会人経験で培われた生活者の視点やコミュニケーション能力等に期待できることから、リカレント教育に力を入れていただきたいと述べました。併せて、仕事体験やリハビリテーション1日体験の取り組みを紹介し、医療従事者に関して興味を持つ機会について、行政側が主導する仕組みがあるとよいと述べました。

 

◎地域の養成体制の整備について

現在、多くの大学生が奨学金を利用していることに触れ、社会人経験をもつ人材の学び直しや追加的な専門教育を推進するためには、たとえば返済不要の給付型奨学金への切替え、または医療関係職種への進路選択者に対する国の財政的支援制度の創設についても、教育制度改革と一体的に検討する必要があることを提案しました。

 

◎都道府県の取り組みや役割について

職種別の需給状況を把握した前提で、不足が見込まれる職種については、職能団体、学校養成施設、医療機関等と連携し、小・中・高校生への早期の職業理解、進路指導担当者への情報提供、地域で働く医療専門職の見える化等を進める仕組みが必要と述べました。