障害保健福祉領域OTカンファレンス開催報告

最後のOTカンファレンスを開催

2026年2月28日、愛知県名古屋市において、最終回となる第23回障害保健福祉領域における作業療法(士)の役割に関する意見交換会(障害保健福祉領域OTカンファレンス)を開催しました。会場には29名、オンラインでは51名が参加し、計80名が集いました。

前半は、吉原理美氏(名古屋市総合リハビリテーションセンター)による「高次脳機能障害を有する方の地域移行支援」、扇浩幸氏(リニエ相談支援中野)による「相談支援領域における作業療法士の役割」、木下匠氏(合同会社キングコング)による「就労移行支援事業所における職場定着支援」と題した実践報告が行われました。後半は参加者同士による意見交換を実施し、活発な議論が交わされました。

グループディスカッションもオンライン併用で行い、議論内容を共有

 

 

11年間の開催成果

障害保健福祉領域OTカンファレンスは、障害保健福祉領域で先駆的に活躍する作業療法士の実践を共有し、意見交換を行うことで、作業療法士の配置促進や活動範囲の拡大につなげるとともに、会員相互のネットワーク構築の機会とすることを目的として、2014年から開催してきました。

全23回の開催のうち、第12回までは対面形式、第13回から第18回まではCOVID-19流行の影響によりオンライン形式、第19回以降はハイブリッド形式で実施しました。開催地は全国12都府県に及び(図1)、実践報告者は延べ81名、参加者は延べ1,787名となりました。実践報告のテーマとしては、就労支援が最も多く、次に生活介護や地域活動支援センター等の日中活動の場での支援が続きました(図2)。そのほかにグループホームや居住支援等、住まいに関すること、相談支援、自治体の独自事業など多岐に渡るとともに、どの取り組みも対象者への個別支援に留まることなく、地域づくりにつながっていました。

これまでの成果として、全国各地の障害保健福祉領域における作業療法実践が共有され、他地域への展開につながる基盤が形成されたことが挙げられます。また、障害保健福祉領域における作業療法士の専門性や強みが整理・言語化され、その役割の明確化が進みました。さらに、医療・介護・教育等、他領域の作業療法士や他職種とのつながりが生まれ、領域横断的なネットワーク形成が促進されました。加えて、現場の実践と制度的課題を結び付ける機会となり、政策的視点を共有する場としても機能してきました。

図1 これまでのOTカンファレンスの開催都府県

  

2 これまでの報告テーマ

 

 

地域ごと・事業ごとの場づくりへ

参加者からは、多様な領域の事例や実践に触れることで、自身の実践を振り返り、新たな学びや刺激を得られる場として高い評価をいただいてきました。一方で、実践事例の詳細や地域における相談先等、現場で活用できる具体的な情報へのニーズや、グループ討議後も継続的に交流できるネットワークを望む声も多く寄せられていました。

こうした声を踏まえ、今後は全国規模でのOTカンファレンスからかたちを変え、地域ごとの実践共有とネットワーク強化を目指していくこととしました。地域単位でのネットワークを形成することで、日常的な情報交換や相談が可能となり、地域の実情に応じた実践の充実につながることを期待しています。

また、生活介護や相談支援等、従事する作業療法士数が限られる事業分野については、引き続き全国規模での意見交換の場を設ける予定です。

具体的な取り組みとして、地域単位では2026年9月26日に秋田県作業療法士会主催による障害福祉に関する研修会が予定されています。また、事業単位での取り組みとして、2026年8月23日に生活介護に関するオンラインミーティングを開催予定です。詳細については協会ホームページをご確認ください。

協会員の領域別配置状況をみると、福祉領域に所属する会員数は2014年度の1,053名から2024年度には2,082名へと増加し、全会員に占める割合も2.1%から3.7%へと上昇しています。今後も、本領域における作業療法士の実践が、地域で生活する障害のある方々の暮らしや就労により一層貢献できるよう、取り組みを推進していきたいと考えています。